2009 Fiscal Year Annual Research Report
表現志向に考慮した造形メソッドの開発と、ディジタルアーカイブを用いた教育及び評価
Project/Area Number |
21530967
|
Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
久保村 里正 Bunkyo University, 教育学部, 准教授 (80320951)
|
Keywords | 芸術諸学 / 教育学 / 美術科教育 / 基礎造形 / ベーシックデザイン / 造形要素 / アーカイブ / イメージ |
Research Abstract |
1999年から2009年までに行った基礎造形の授業と、それに関わる先行研究の再検討を行い、造形メソッドが効果的に機能しなかった課題について、それぞれの事例の研究を進めると共に、その原因となったと推測される、学生の表現志向の分析について分類を行い、日本基礎造形学会あいつ大会にて口頭発表を行った。 また2010年に行われた基礎造形の授業において制作された作品についても同様に分析を進め、更にアンケートによって課題の作品について、趣向の調査を行った。以上の研究の結果、15週間にわたる基礎造形の課題のうち、「ネガティブな線の構成・断線」、「ネガティブな線の構成・欠線」、「欠損した円の構成」、「同形分割と等量分割」の4つの課題に、「具象的表現」と「幾何学的・抽象的表現」という表現志向の差異が特にみられた。また、作品中に使用された色・形・コンポジションといった造形要素の数と、各個人の表現志向の違いをクロス集計した結果、具象的表現を志向する学生は、作品中に使用される造形要素の数が比較的に少なく、複雑で高度な造形要素の組み合わせを行うことを苦手としている傾向が明らかになった。これは研究当初の疑問であった、「具象的表現志向の高い学生と、造形メソッドを用いた教育カリキュラムとの親和性の低くさ」が証明する結果となった。 今後は学生の内的なイメージと表現志向と実際の形になった作品の関係について、その造形プロセスから明らかにするとともに、他の美術・造形の授業との比較を行うことによって、基礎造形に対する趣向を明らかにすると共に、造形メソッドの問題点を明らかにする予定である。
|
Research Products
(2 results)