2011 Fiscal Year Annual Research Report
表現志向に考慮した造形メソッドの開発と、ディジタルアーカイブを用いた教育及び評価
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21530967
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
久保村 里正 文教大学, 教育学部, 准教授 (80320951)
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Keywords | 芸術諸学 / 教育学 / 美術科教育 / 基礎造形 / ベーシックデザイン / 造形要素 / アーカイブ / イメージ |
Research Abstract |
本年度は、作品の制作過程において使用される造形要素の数が比較的に少なく、複雑で高度な造形要素の組み合わせを行うことを苦手としている傾向が強い具象的表現を志向する学生に対して、新たな題材を開発することを目的に、イメージの可視化のプロセスの調査を行った。調査方法は指定された動物をモチーフとした記憶画と、その動物に対するイメージを自由記述させ、そのイメージ語と描かれた動物を比較し、作者のそれぞれの動物に対するイメージが、どの様に表現(可視化)されるかについて分析を行った。 調査の結果、多くの作例の場合、描かれた動物とイメージ語の相関関係が薄く、必ずしも作者の心的イメージが、表現に反映されていないことが分かった。これは動物のような具象的な物は、内的なイメージから再現するのではなく、記憶された視覚的な情報から直接的に描くといったプロセスを経ているからだと思われる。またこの様な視覚化のプロセスから、抽象的表現の場合は、記憶された視覚的な情報が無いために、内的なイメージのみから視覚化されることから、内的なイメージからの可視化の繋がり(構想)が弱い場合、苦手意識が発生するのだと思われる。 以上のようなことから、基礎造形教育法が定めた課題のうち、特に「具象的表現」と「幾何学的・抽象的表現」という表現志向の差異がみられた、「ネガティブな線の構成・断線」、「ネガティブな線の構成・欠線」、「欠損した円の構成」、「同形分割と等量分割」について、制作過程における内的なイメージからの可視化の繋がりを強めるため、構想をアシストする制作フォーマットを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の所属研究機関移動により、研究方法の変更を要したものの、方法の変更によって、現在はおおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎造形教育法による授業で用いる予定であったディジタルアーカイブの開発については、現在の電子機器の普及を鑑み、従来のPCから視聴するようなアーカイブではなく、スマートフォンやPDAから見られるようなディジタル資料の方が、より利便性が高く、教育効果が期待できると考える。学生が自己で保有しているPDAやスマートフォンを用いて閲覧できる、ディジタル資料を検討中である。
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Research Products
(3 results)