2009 Fiscal Year Annual Research Report
国語教育に音楽鑑賞を取り入れる試みとその効果の数量的解析
Project/Area Number |
21530968
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
竹下 哲義 Ishikawa National College of Technology, 電子情報工学科, 教授 (90259846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (90185538)
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Keywords | 感性情報学 / 国語教育 / 音楽鑑賞 |
Research Abstract |
平成21年度は、研究分担者の授業担当科目「国語」の受講者(16歳から17歳)と研究代表者が所属する学科の卒業研究生(19歳から20歳)から被験者を募り実験を進めた。被験者はあらかじめ村上春樹の「ノルウェイの森」を何度か読んだ後、実験に参加した。実験では、こちらで指定した文庫本4ページ程度のシーンをその場で黙読させ、SD法を用いた印象評定を実施した。評定尺度として、文学と音楽のいずれをも表すと考えられる22の形容詞対を用いた。その後、音楽提示の影響調査のため、音楽を聴くグループと聴かないグループに分け、シーンについての解説を行った後、もう一度印象評定実験を実施した。このようにして音楽提示がシーンの理解にどのような影響を及ぼすかについて調査した。 印象評定実験のデータは因子分析により解析を試みた。シーンの解説を受ける前後での印象の変化を2つのグループで比較すると、音楽を聴いたグループとそうでないグループの因子得点の変化に違いがあることが分かった。音楽は小説世界への理解に変化をもたらす可能性があると考えられる。今後、グループ間の被験者の年齢のばらつきなども考慮して、被験者数を増やしてさらに実験を進めていきたい。このようにして国語教育に音楽鑑賞を取り入れることで、文学作品を別の視点から捉えることができ、創造的な鑑賞力や情緒力の育成につながる効率的な感性教育に結びつくことを検証していく。
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