2010 Fiscal Year Annual Research Report
現職教員再教育における批評力速成のためのカリキュラム開発
Project/Area Number |
21530976
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
香西 秀信 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (20178213)
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Keywords | 批評力 / レトリック / 非形式論理学 / トピカ / 現職教員再教育 / 寛容の原理 / 修辞的思考 |
Research Abstract |
本研究は、平成21、22、23年度の3年計画で、現職教員及び教員志望者(主として国語)の批評力を速成するための方法を開発し、それにもとづくカリキュラム・教材資料・教材研究集を作成することを目的とする。平成22年度の実績として、以下の成果が得られた。 1)Negative Approachの虚偽型式を、Affirmative Approachの正常な論理型式が具体的な議論のかたちをとる際の変態による論証機能、説得力の喪失ととらえ、それを材料にして、批評力の基礎となる論理的思考力を裏側から訓練する方法として開発し、主として以下の場でそれを実践した。 (1)高等学校のSSH事業における、論理的思考力の訓練講習(東京都立戸山高等学校)。 (2)勤務校の新設科目「論理的思考演習」での、論理的思考力の訓練演習。(1)と同様に、上記の成果を取り入れた、従来の理論によるものとは全く異なった論理的思考力の訓練である。 2)特に教科書教材について、批評(批判的読解)の分限を明確にし、妥当性を担保するために、Davidsonらによる「寛容の原理」を援用し、教材批判の許容/非許容を指示する理論を定式化して学術論文として発表した。(教科書教材は、知識・思考力の薄弱な子ども向けのものであるから、そこで提供される情報は、当然ながら多くの単純化・省略・誇張等の「欠点」を含む。そうした教科書教材の性格を弁えない批判は不毛であり、むしろ正常な批評力の育成を阻害する。したがって、教科書教材において、批判すべき箇所を弁別・仕分けするための理論の確立が必要とされる。) 3)「比較」による簡便な批評力速成方法を考案し、それにもとづいて平成24年度より使用される中学校の国語教科書教材を作成した。(東京書籍。「論証・説得」系列教材、1~3年。) 4)「配列」を意識した批評方法について、公立学校(下野市立祇園小学校)で講話を行った。
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Research Products
(2 results)