2009 Fiscal Year Annual Research Report
生きる意味の哲学的探究を根幹にすえた高等学校道徳教育の構築に関する研究
Project/Area Number |
21530988
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
兼松 儀郎 Naruto University of Education, 大学院・学校教育研究科, 教授 (00319443)
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Keywords | 生きる意味 / 哲学的探究 / 道徳教育 / 高等学校 |
Research Abstract |
本研究は、現代社会における哲学的思索の意義をとらえ、高校生が生きる意味を探究し自己省察を深めていくことを根幹とする高等学校道徳教育の構築を目指すものである。 研究初年度は、生きる意味の哲学的探究に関する文献収集を行い、日本の高等学校公民科「倫理」の指導、韓国・中国の道徳教育の動向等について調査を進め、本研究の枠組みを構想した。 本年度の研究によって明らかとなったことは、次のとおりである。 1.人間としての在り方生き方に関する教育の充実を図るには、高等学校の「倫理」学習の積極的意義をとらえるとともに、小学校段階では生き方の基礎づけを確実なものとし、中学校・高等学校段階では青年としての生き方の探究を促すなど、各学校段階を一貫する系統性が重要であり、学校制度の観点から検討する必要がある。2.生きる意味の探究へと促すには、人との出会いがその契機となることに着目するとともに、社会体験活動などによって社会の一員としての自己有用感を得ることが重要といえる。今後、ボランティア活動などの社会体験活動と生きる意味の探究との関連性を明らかにする必要がある。3.各高等学校の校訓や学校教育目標は生き方の哲学的探究の基盤となりうる。また、高等学校学習指導要領(平成21年)に着目すると、生きる意味の探究は,思考力・判断力・表現力等の育成と連動すると考えられる。4.「道徳の時間」と「学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育」との関連性の問題、経済発展にともなう道徳的な価値意識の変容の問題を、本研究課題と関連付ける必要がある。5.道徳教育に関する国際的な研究動向から、哲学や倫理学のみならず、教育学、心理学、社会学等、道徳教育研究への学際的なアプローチの有効性について検討する必要があるといえる。
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Research Products
(2 results)