2011 Fiscal Year Annual Research Report
生きる意味の哲学的探究を根幹にすえた高等学校道徳教育の構築に関する研究
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21530988
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
兼松 儀郎 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (00319443)
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Keywords | 生きる意味 / 哲学的探究 / 道徳教育 / 高等学校 |
Research Abstract |
本研究は、現代社会における哲学的思索の意義をとらえ、高校生が生きる意味を探究し自己省察を深めていくことを根幹とする高等学校道徳教育の構築を目指すものである。 研究最終年の本年度は、生きる意味の哲学的探究を促す高等学校道徳教育のカリキュラム構想に取り組んだ。その要点は次のとおりである。 1.道徳性の育成を行動へとつなげるには、道徳教育を日常生活に関連付けることが重要であり、特に高等学校においては「考えること」に積極的な位置付けを行う必要がある。高校生が人間としての生き方について知的に考える力を育成することが重要であり、「知ること」「考えること」「行動すること」を相互に関連付けた学習過程の構築について検討されねばならない。2.生きる意味の探究は、人間として何を価値あるものとして生きるかについての問いかけであり、この問いかけは現実の生活体験や社会体験のなかで喚起される。現実の体験を通して、人間としてよりよく生きる上で何が真に価値あるものであるのかを実感し思索できる。このことは自己の価値観の確立にかかわることから、小学校・中学校段階での道徳的価値の自覚との連続性・発展性が期待できる。3.高等学校公民科「倫理」は、教科学習として生きる意味の探究を促す積極的な役割を担うことができる。先哲の思想を手掛かりとする哲学・倫理の基礎概念の習得は、倫理的な見方や考え方を身に付け、自己の生き方を批判的に吟味する力を高め、将来の生き方に向けて判断するための視野を拡げるものとなる。教科学習として、特に知識・理解、思考・判断・表現という観点から、「倫理」の学習の系統性を検討する必要がある。
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Research Products
(4 results)