2012 Fiscal Year Annual Research Report
音楽構成要素の分解と再構築による聴音課題作成とその教育効果に関する研究
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21530995
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 謙一郎 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (90386772)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 聴音課題 / ソルフェージュ / フォルマシオン・ミュジカル / 音楽構成要素による分析 |
Research Abstract |
平成24年度の研究における活動は、1.聴音課題の分析およびデータ化、2.聴音課題の作成と被験者への実施、3.実施結果のデータ化、4.学会発表、の4点が挙げられる。その中でも特に、2.と3.は本年度から開始した新規の取り組みであり、本研究の最終的な目的である「教材開発」に直結する不可欠な作業である。以下に1.から4.の取り組みと成果について記述する。 1.の作業は平成23年度中に完了する予定であったが、分析した課題数が741題(9冊)に留まったため、本年度も継続して行った。その結果、新たに495題(3冊)の分析がなされ、当初予定していた1000題を超えて、より精度の高いデータを収集できた。そのほか、教材構成の分析も日本の全49冊は完了し、フランスのものは68冊中14冊まで終えることができた。 2.は、段階的な難易度の設定に基づき音楽構成要素の内容を確定させた上で課題作成・実施を予定していたが、まずは各回の被験者の様子を見ながら課題を与える方法をとることとした。これは、一般的な課題提示方法と本研究での方法との比較を通して、教材と指導の効果を客観的に確認できると考えたからである。 3.は、被験者5名の聴音課題の解答をデータ化する作業である。5名の平均正答率は15回のレッスンにより、音高は55.1%から78.4%、リズムは59.5%から95.9%に上がった。このように一般的な課題提示・実施方法でも能力の向上が見られたが、初学者1名の音高認識は40.5%から56.8%の伸びに留まった。初学者のスキルを、いかに短期間で無理なく高めるかが本研究で作成する教材の課題となった。 4.の学会発表では、上記1.の手法の解説とともに、その手法を通した聴音教材開発、および聴音課題作成の可能性を示した。曖昧模糊とした聴音の難易度に対して、一つの基準を示すことができたのは有意義であったと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被験者への聴音課題の実施は、当初の計画では平成24年度中に終える予定であったが、前期(4月~7月)に本研究の授業を履修した5名が後期(9月~1月)は他の授業との兼ね合いで一人も履修できず、授業が閉講となったことで、比較するためのデータが収集できなかったため。また、収集したデータの検証が完全に終わっておらず、本研究で作成すべき教材の全体構成が確定していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度後期(9月~1月)に収集できなかったデータは平成25年度前期(4月~7月)に収集し、従来の指導方法と本研究で独自に作成した教材に基づく指導方法との比較を行えるようにしたい。 そのほか、分析が完了していない聴音課題および教材の分析についても早期に終わらせ、既存の教材との差異が明確に示せるよう各種データの整理・検証を進めていく。
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Research Products
(1 results)