2010 Fiscal Year Annual Research Report
後期中等教育段階における発達障害支援のためのモデル・カリキュラムの開発
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21531004
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
野口 和人 宮城教育大学, 特別支援教育総合研究センター, 教授 (40237821)
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Keywords | 後期中等教育 / 発達障害 / モデル・カリキュラム |
Research Abstract |
高等学校教員の間で特別支援教育に対する認識が高.まりつつある中で,生徒の学業不振等について,単に気力の無さ,要領の悪さなどに原因を帰することなく,授業の工夫や環境調整,ニーズに応じた個別支援など,学校・教員側が対応すべき課題として捉えられるようになってきた。 そのため,教科学習については,これまで小・中学校において蓄積されてきた知見を参照しながら授業内・授業外での様々な工夫が試みられるようになってきた。一方で,いわゆるグレーゾーンの生徒や診断を受けていない生徒に関し,学習到達目標の設定や評価に関わる問題が顕在化してきている。また,ソーシャル・スキルに関わる困難さをサポートするための時間をカリキュラムにどう組み込むか,サポートの場や体制をどう構築するかも喫緊の課題となっている。 アメリカでは,IDEAのレギュレーションの変更に伴い,少なくとも16歳の時点で発効するIEPに,Secondary Transition(高等学校卒業後の生活に向けての移行支援)の内容を組み込むことが規定されている。また,その実行に,大学なども含む関係諸機関が積極的に関与している(たとえば,高校生や卒業生向けの移行支援プログラムなどを大学が提供している)。なお,同様の取り組みは,アメリカ以外の諸国でも行われている。 個々の高等学校における支援については,「学校設定教科」や「学校設定科目」などを活用しながらカリキュラム整備を図る方向性があるが(たとえば,「コーピング」などの学校設定科目を置き,人間関係スキルの向上を図っている高等学校もある),Secondary Transitionという視点からは,高等学校内の体制整備に留まらず,高等学校も含めた青年期の継続的・総合的な支援体制の構築・整備を図っていく必要がある。
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