2010 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害児における動作性知能アセスメントバッテリーの開発に関する研究
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21531006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐島 毅 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (20241763)
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Keywords | 視覚障害児 / 動作性知能 / アセスメントバッテリー |
Research Abstract |
本研究は盲児,盲・知的障害児に実施可能な動作性知能評価法の開発を目的とし,今年度は立体的動作性知能評価とADLの関連に関する検討を行った。また、WISC-III知能検査(以下、WISC-III)と新版K式発達検査2001(以下、新版K式)のうち、触覚によって実施が可能な検査課題についてその用具や手続きの一部を改変して実施を試み、動作性検査を視覚障害児に適用する可能性を検証した。その結果、動作性の検査結果や背景情報をふまえプロフィール分析を行ったところ、全盲児4名に空間認知の面で共通点が見出された。実施した検査は、2名がWISC-IIIの言語性と動作性の一部、新版K式の一部を、1名がWISC-IIIの言語性と新版K式の一部を、残る1名が新版K式のみを実施となった。また、動作性検査を通して空間認知に課題のある全盲児には、以下のような共通点が見出された。(1)基点を設けて両手で丁寧に触る動きがあまり見られない。(2)手指の力を調整し、指先で輪郭をたどることが難しい。(3)事物の位置や大きさ、形等を触って確かめるなど、自発的に外界に働きかけることが少ない。(4)見本と自分の積木の区別が困難など抽象化に課題がある。(5)体幹を揺らす等常同行動があり、姿勢が安定しにくい。積木構成課題でつまずきが見られた全盲児は、屋内・屋外での単独歩行で困難さを抱えていた。積木構成課題は、静止した状態で限られた空間を把握する能力が求められる。机上の空間把握が苦手な視覚障害児の場合、単独歩行という常に動いた状態の中で、自分と事物の位置関係を理解することはさらに困難であると考えられる。本研究は、改変した動作性検査の一部を試みるにとどまった。しかし得られた知見により、視覚障害児の空間認知の困難さを理解する上で、動作性検査を実施する有用性が示唆されたと言える。
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Research Products
(4 results)