2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチメソッドによる知的障害児の運動機能の生態学的分析と支援方法の開発
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21531014
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
葉石 光一 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (50298402)
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Keywords | 知的障害 / 衝動性眼球運動 / 反応時間 / 知能 / 実行制御機能 / 年齢 |
Research Abstract |
本年度は、知的障害者の運動機能の特性について、前年度に引き続いて、さらに検討することを目的とした。昨年度は、知的障害者の眼球運動反応時間の平均値が知能と、反応時間の標準偏差が実行制御機能と関連する事を示した。さらに、実行制御機能の影響をうける反応時間標準偏差が反応時間平均値に影響を与えることも明らかとなった。知的障害者の眼球運動機能については、長年、関心をもたれてきたテーマであったにも関わらず、その特性をまとまって検討した研究はなかった。この成果は、知的障害者の眼球運動機能の基本的特性に関する基礎的知見として、重要な意義をもっている。 上記の検討の際、知的障害者の眼球運動機能に影響を与える要因として、年齢の影響も合わせて検討した。この点については、やはり反応時間についての検討を行った。一般には、眼球運動の反応時間平均値は思春期前半までかけて成人レベルに短縮し、40歳台までは安定、その後、老化に伴い延長に転じるという傾向が知られている。本研究では、知的障害者においてはこのような傾向を単純には見いだせないことを明らかにした。この点については、知的機能と実行制御機能の状態によって対象者を分けて分析することが、知的障害者の眼球運動反応時間に対する年齢の影響を明らかにする上で重要な鍵となることを示唆する結果を得た。ただし、この点については、十分な検討がしきれていないため、次年度も引き続き検討を続けて行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
知的障害者の運動機能に関する実験的検討に関する部分の成果は順調にあがっている。しかし、フィールドワークによる部分については、成果をあげることが困難な状況である。これについては、引き続き協力を得られる機会を求めて努力する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者自らによるフィールドワークの機会はなかなか得られない状況にある。そのため、対象者をよく知る療育からの聞き取り等に方法を変えることを検討する必要があるかもしれない。
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