2011 Fiscal Year Annual Research Report
読字障害の視覚効率・音韻機能の改善のための縦断的研究
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21531019
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
永松 裕希 信州大学, 教育学部, 教授 (60324216)
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Keywords | 発達障害 / 読字障害 / 視覚効率 / 音韻操作 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
本研究では,学習障害を中心とした発達障害児の読み能力に焦点を当て,その改善を図るためにこれまで開発した評価ツールおよび援助プログラムを用い、その効果を縦断的に検証することを目的として,平成23年度は、音韻認識の困難な読み障害グループと視覚効率の困難な読み障害グループを識別する各検査のバッテリー化を図るための調査と、改善プログラムによる読み能力の縦断的な変化を調査を実施した。 平成23年度に実施した小学校1学年児童(120名)の調査結果を基に仮の分析を実施し、読み能力とそれに対する影響因に関する考察を行った。分析対象は、標準化された読み検査の「読字力」「語彙力」「文法力」「読解力」の調査結果、音韻操作能力として逆唱課題(2モーラ~5モーラ)、音韻削除課題(2モーラ~5モーラ)の調査結果、視覚効率としてDevelopmental Eye Movement Testの調査結果、及び視知覚テストの調査結果である。なお、H23年度の調査後に行った仮の分析では、読み困難児のサブタイプとして8つのタイプが示され、多くの児童が単一の要因でなく複数の要因に問題が認められること、読み学習初期における読み能力の主な規定要因は音韻処理能力であること、さらに、先行研究との比較により、読み能力の規定要因は年齢とともに変化する可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学1年生を対象とした調査が、予定通り実施でき、これにより小学校段階の児童の読み能力における縦断的な変化が検討できる条件が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
ケーススタディによる改善プログラムの効果の検証を継続して実施し、改善プログラムの検討を行う。これと合わせて、平成23年度に実施した調査の対象児童の中から、読み能力に困難さの見られた児童に対して、追跡調査をおこなうことにより読み能力の経年的変化と改善に関する分析を行う予定である。
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