2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園等における発達障害支援教室に関する実証的研究
Project/Area Number |
21531022
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
平澤 紀子 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (20320393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 裕 岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (20310039)
池谷 尚剛 岐阜大学, 教育学部, 教授 (70193191)
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Keywords | 発達障害 / 幼稚園 / 支援教室 / 就学前の教育条件 |
Research Abstract |
発達障害のある幼児に対する教育条件の整備に関して、教育委員会が幼稚園や小学校等に運用上設置している通級タイプの支援教室が注目されるが、その支援効果に関する実証的研究は行われていない。今年度は、2年間の研究結果とともに、関係者へのアンケート調査も踏まえて、支援教室を拠点とした効果的な幼児への支援、保護者への支援、幼稚園や小学校との連携について検討した。 まず、2年間の研究において、次のことが明らかにされた。(1)支援教室での支援によって、幼児のもつ全体的な困難さが減少した。(2)支援の効果は幼児のタイプや支援教室で異なり、対人関係困難と言語発達不良の幼児では個別支援で、多動・集中不良の幼児では小集団支援で効果が顕著であった。(3)保護者や保育者の満足度は高く、その理由として、保護者や保育者の対応の見通しの促進、園集団では難しい個に応じた支援等が挙げられた。(4)ただし、園集団における対応の見通しにつながらない場合、支援の効果は低くなった。(5)支援教室で支援を受けた対象児の就学後の適応状況は良好で、支援内容に関する情報が学級での対応に役立っていた。 以上、支援教室における支援は、幼児の望ましい変容とともに、保護者や保育者の見通しを促進し、スムーズな就学に資するといえよう。本結果を踏まえると、発達障害のある幼児に対して、園の集団において気づかれやすい困難さに対応するための教育条件の整備として、通級制度の検討の必要性を含み、就学前に求められる教育条件の整備に関する提言をまとめた。
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