2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能評価を基にした自閉症スペクトラム児者への医学・教育連携支援法
Project/Area Number |
21531035
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
成田 奈緒子 文教大学, 教育学部, 教授 (40306189)
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Keywords | セロトニン / 自閉症スペクトラム障害 / 図形課題 / 前頭前野 / 作業記憶 / スイッチングタスク |
Research Abstract |
本研究では、自閉症スペクトラム障害(以下ASD)のアセスメントと支援方法を、医学と教育の連携させた観点から確立するために、これまでに、図形を用いたタスクスイッチ負荷を行った際、ASD児者においては健常者で認められる前頭葉機能の賦活化以外の部位も使って対処している可能性を、高い正解率と相反する前頭葉脳血流量低下で示した。さらにこの結果を基にして、ヒトの顔写真を刺激とした、同様のタスクを作成した。で検討した結果、ASD者においてはタスクパフォーマンスに応じた前頭葉脳血流の変化が認められず刺激特異的・個体特異的な脳機能の差異があると考えられた。これらの脳機能実験から得られた実績を基にして、実際にASD児童を対象として、継続的に前頭葉を刺激するタスクを指導の中に取り入れ、その効果を独自に作成した認知、ワーキングメモリ機能を客観的に評価できるテスト問題を用いて定期的にその正答率と所要時間の評価を行うことを計画した。今年度はそのための予備実験として、小学校特別支援学級に在籍する児童を用いて、旗揚げや数字結びテストなどを行った際の前頭葉脳血流量を近赤外線酸素モニターを用いて評価した。被験者児童6名における旗揚げ施行時の10秒間の酸素化ヘモグロビン値の平均値を比較したところ、旗揚げを施行した際に、前頭葉血流量が右側優位に増加した児童が、6名中4名に観察された。さらに、6人の平均値において、右側前頭葉が優位に賦活していることが分かった。このことより、障害のある児においても一般的に空間認知を賦活すると考えられている課題を施行する際には右側前頭葉優位の賦活が起こる傾向があることが示唆された。今後この課題を実際に学級活動の中で用いて、継続的な刺激の効果を測定したい。
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Research Products
(7 results)