2009 Fiscal Year Annual Research Report
有限群におけるカルタン行列の固有値とブロックの森田同値性
Project/Area Number |
21540009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
和田 倶幸 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (40003008)
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Keywords | 有限群 / ブロック / カルタン行列 / 不足群 / 固有値 / 一般指標 / ブルエ予想 |
Research Abstract |
有限群をGとし、標数p>0の代数的閉体をFとする。群環FGのブロックをBとし、その不足群をDとする。Bのカルタン行列をCとし、その最大固有値をρ=ρ(B)とする。ρが整数になるのはどのような場合だろうか。いろいろな群で確かめた結果、ρが整数ならば、ρ=|D|で、さらに強くすべての固有値はCの単因子に一致してしまう。そこでこのことがすべての有限群について成り立つのではないだろうかと予想した。この予想は、もし正しいならば、とても強い結果で、有限群のブロック以外の多元環のカルタン行列では一般には成り立だない。これまでに誰も知らなかった有限群の特徴を表す性質である。 すでにいろいろな群では、この予想が成り立つことを証明したが、p-可解群の場合でも難しく、証明が見つからなかった。北海道教育大学旭川校の奥山哲郎との共同研究により、次の二つのことが証明できた。 (1)HをGの指数がpと素な正規部分群とし、bをHのブロック、BをbをカバーするGの任意のブロックとすると、ρ(B)=ρ(b)が成り立つ。 (2)Gがp-可解群で、Bのカルタン行列Cのすべての固有値が整数ならば、ρ=|D|が成り立つ。 (1)から、シローp-部分群がアーベル群のとき、主ブロックBについて、ρが整数ならBとそのBrauer対応子bが森田同値になるのではないか、という問題を解決するための重要な手がかりとなる。この問題はP=2の場合すでに証明し、発表しているが、そこではFeit-Thompsonの有名な奇数位数定理を使っている。(1)の結果から奇数位数定理を使う必要が無くなった。また(2)から、Gがp-可解群のときに、上の予想を証明するための重要なステップが証明できたことになる。
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