2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21540024
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
筱田 健一 上智大学, 理工学部, 教授 (20053712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 俊樹 上智大学, 理工学部, 教授 (60243193)
五味 靖 上智大学, 理工学部, 准教授 (50276515)
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Keywords | 代数 / 有限群 / 表現 / 指標 / ガウス和 |
Research Abstract |
1.ガウス和は有限素体上の乗法指標値と加法指標値の積の和として、まず研究された(ガウス、1800)。有限素体上のガンマ関数というべきもので、有限群の表現論や整数論の研究などによく現れる。これを有限群に拡張することが提起され、初めに完全な結果を出したのは近藤武(1964)の有限体上の一般線型群に対するものであった。斉藤-筱田(2000)などにより、さらに有限簡約群に対しては拡張されていたが、これを昨年度対称群まで拡張することができた。有限群のガウス和は、その群環の中心的なある加法指標を通常既約指標により展開したときのフーリエ係数ともいえる。この意味で、対称群を部分群として含む複素鏡映群G(m,1,n)についても自然な対角和から定まる加法指標に対するガウス和を、閉じた形で求めることができた。さらに今年度は有限コクセター群を初めいくつかの有限群につき、そのガウス和を求めた。 2.ガウス和のヘッケ環への拡張について研究した。対称群の拡張として自然なものであるべきであるという立場から幾つかの拡張を試みた。組み合わせ論などで、対称関数のq-類似について多くの結果が得られている。対称群のガウス和を得る我々の議論を適当なq-類似に置き換えてみると、A型の場合は結果も妥当なものでマルコフトレースに関係するなど、興味深いものが得られることが分かった。他の型についてはまだ得られていない。 3.有限環(特に有理整数環の素数ベキが生成するイデアルによる剰余環)上の2次一一般線型群についてそのガウス和を研究した。この群は整数論とも関係し、さまざまな研究がされているが、指標値に関しては、既存の研究でも不完全なところがあり、そのことも一因でまだ解決にはいたっていない。 4.ゲルファンド-グラエフ表現とガウス和との関係、および、2次有限行列環上のヴェイユ型方程式の解の個数とガウス和との関係についても調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称群をふくむ複素鏡映群についてガウス和を閉じた形で求めることができた。ヘッケ環への拡張は、この結果から比較的に容易に進むと期待されたが、そうはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
q・類似の立場から、ヘッケ環のガウス和について研究する。さらに有限環上の2次一般線型群のガウス和についても、閉じた形での式を求めたい。これらがヴェイユ表現やテータ関数とも関係していることを期待しているので、さらに広く情報を収集して研究を深めたい。
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Research Products
(3 results)