2011 Fiscal Year Annual Research Report
対数構造を用いた退化多様体のピカール多様体の幾何学
Project/Area Number |
21540032
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
梶原 健 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (00250663)
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Keywords | 対数構造 / ピカール多様体 / 退化多様体 |
Research Abstract |
本年度は退化多様体の対数ピカール多様体に関して,主に次の3点について成果を得た.1つめは退化多様体の対数ピカール多様体の構成を,ピカール多様体が半アーベル多様体の場合に,対数アーベル多様体を利用して定式化した.2つめは,完備扇に伴う対数アーベル多様体のモデルが完備であることを証明した.これはシカゴ大学,加藤和也氏,東京工業大学,中山能力氏との共同研究でもある.3つめは特別なグラフの彩色イデアルのグレブナー扇に対応する0次元概型の変形を明示的に与える方法を見つけた.具体的に述べる. 退化多様体のピカール多様体が半アーベル多様体になる場合,対数アーベル多様体の定義に必要な設定を,退化多様体の不変量を用いて与え,対数ピカール多様体の定式化を得た.半安定曲線の場合,これまでに構成した一般ヤコビ多様体のコンパクト化を含んだ定式化になる. 対数アーベル多様体は,対数概型の圏上のアーベル群の層であって,従来の退化アーベル多様体の合併をとらえうる性質を持った対象である.したがって対数アーベル多様体自身は,対数構造を利用した新しい幾何対象である.対数アーベル多様体を従来の概型で調べる手段が、扇から定まる対数アーベル多様体のモデルである.このモデルは,完備扇にともなう場合、完備になることを証明した.代数空間の付値論的判定法を利用する. 一般にグラフの彩色イデアルは被約0次元概型を定義する.路の場合,彩色イデアルのグレブナー扇の極大錐の個数がカタラン数に等しいことが予想され,検証を進めてきた.この個数を評価するために,グレブナー基底から路の頂点の順序を決めるアルゴリズムを見つけた.正当性は現在検討中である.このように構成された項順序により,0次元概型の変形が得られる.
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