2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540058
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 二郎 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 非常勤講師 (20374184)
|
Keywords | 接触構造 / エンゲル構造 / 円形ハンドル |
Research Abstract |
研究計画の1年目である今年度は,これまでの自分の研究の新な研究への適応性の見極めや,研究の方向の妥当性の検討を行いました.また,新たに必要となる手法の取得や,研究目的のエンゲル幾何学などのための基礎理論の構築に努めました. その上で,年度当初の研究計画から少しの修正がありました.当初はエンゲル構造の研究に真っ直ぐに向かう予定でした.しかし,当研究計画の理論は接触構造をも統一的に捉えようとする理論のため3次元接触幾何学への寄与も望まれます.今年度の研究ではこの方面へすこし舵を切り,結果も得られました. 具体的には,今年度の成果は主に次の3方向からの目的へのアプローチになります. 一つ目は,エンゲル構造のための円形ハンドル理論の改良です.ここでは平行化可能な4次元閉多様体における理論を作ってきましたが,さらなる一般化を模索中です.これはエンゲル構造や特殊多重旗構造の幾何学に留まらず,一般の多様体のトポロジーに影響を与えるものだと思います. 二つ目は,エンゲル幾何学への凸性の導入です.3次元接触トポロジーにおいて凸曲面の理論は非常に強力な道具になりました.エンゲル多様体の凸な3次元部分多様体というものを定義し,分割集合対による特徴付けを得ました.これを道具にエンゲルトポロジーを構築していくのが,これからの課題です. 三つ目は,接触多様体への円形ハンドル理論の応用です.全ての有向閉3次元多様体上の全ての接触構造は,標準接触3次元球面から接触円形手術で得られることを得ました.これは接触トポロジーにおいて,新な枠組みを与えるものかもしれません.また,改良円形ハンドル理論のエンゲル構造への適用の妥当性を思わせる物でもあります. また,米国の数理科学研究所でのプログラムに参加し,Eliashberg, Etnyreらの専門家と議論するなど,大きな影響を受けました.
|