2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
葉廣 和夫 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (80346064)
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Keywords | 結び目 / 底タングル / 3次元様体 / Jones多項式 / 基本群 / 量子化 / 表現多様体 / 分類空間 |
Research Abstract |
当該年度は結果を論文として発表することはできなかったが、以下の研究をおこない、研究集会などの場で発表を行った。 1. 当該年度の前の年度に引き続き、結び目の簡約化された色つきJones多項式の係数と次数についての研究を行った。交代結び目と正結び目の場合に、DasbachとLinによる色つきJones多項式の展開と同様の展開を交点数の小さな結び目の簡約色つきJones多項式に対して計算し、予想を立てたが、すべての正・交代結び目に対する証明はまだ得られていない。特に、計算できた範囲では、予想される展開の性質が、結び目が正であるか否かを決定するなど、顕著な性質を示している。また、これらの展開は、数論的あるいは組み合わせ論的に興味深いq級数になることが多く、これらの性質と結び目の位相的性質との間の関連を詳しく調べることは興味深い課題である。 2. ハンドルボディ内の底タングルの圏Bについての研究に関連して、3次元多様体の基本群の精密化である量子基本群という不変量についての研究を行った。量子基本群は3次元多様体の中の底タングルのイソトピー類からなる集合の上の代数的な構造であり、各3次元多様体に対して、圏Bから集合の圏への関手として定義される。この理論は3次元多様体の基本群に関する種々の概念を「量子化」することを目指している。たとえば、3次元多様体の量子基本群の分類空間、余リボンHopf代数に付随する量子表現多様体が定義できる。また、量子基本群に対するvan Kampen型の定理により、量子表現多様体の張り合わせ公式が得られ、それにより、量子表現多様体の位相的場の理論的な定式化が得られる。これらは、古典的な基本群に対する対応物の自然な精密化になっている。
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Research Products
(3 results)