2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 久顕 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 教授 (20323777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 和徳 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40252572)
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Keywords | トポロジー / 幾何学 / 4次元多様体 / 写像類群 / Lefschetzファイバー空間 / モノドロミー / BLF / チャート表示 |
Research Abstract |
本年度の研究は、平成21年度科研費補助金応募書類研究計画調書「研究計画・方法」欄および平成23年度科研費補助金交付申請書「研究実施計画」欄に記載した計画に基づいて実施された。 「研究実施計画」に記載したLefschetzファイバー空間の新しい不変量の構成に関しては、そのための布石として、種数2以上のLefschetzファイバー空間のチャート表示の研究を鎌田聖一氏(広島大学)と共に開始した。これは、種数2のLefschetzファイバー空間のチャート表示を用いた鎌田氏の研究が平成23年6月に現れたことを契機に始まった共同研究である。本年度は特に、超楕円的Lefschetzファイバー空間のチャート表示を研究し、基本的な性質の解明や具体例のチャート表示などを実行した。これらの予備的考察は次年度に行われる予定の研究に欠かせないものである。 「研究実施計画」に記載したbroken Lefschetz fibration(BLF)のモノドロミーの研究は、早野健太氏(大阪大学大学院生)と佐藤正寿氏(日本学術振興会特別研究員PD)によって精力的に進められた。特に、BLFの切断の様々な性質、超楕円的なBLFの全空間の構造や符号数の局所化などが明らかになり、興味深い具体例も構成された。両氏の研究に間近で接した経験は、今後の研究に大いに役立つものと思われる。 これらの他に、超楕円的Lefschetzファイバー空間の互いに交わらない切断の構成に関して、田中俊輔氏(大阪大学大学院生)と有益な議論を交わすことができた。田中氏の研究は今後、様々な4次元多様体の構成に応用される可能性がある。 尚、T.Mark氏(ヴァージニア大学)、J.Van Horn-Morris氏(スタンフォード大学)との共著論文は、平成23年にJournal of Topology誌の一論文として出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャート表示は、一般種数のLefschetzファイバー空間の分類や不変量の構成に非常に有効であることが期待されている。本年度は、チャート表示を創始した鎌田聖一氏(広島大学)との共同研究を開始することができ、Lefschetzファイバー空間の新しい研究への布石を打つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Lefschetzファイバー空間の新しい不変量の構成に関しては、様々な方法を模索しつつも、基本的にはチャート表示を用いた研究を継続する。4次元多様体の種々の改変操作とLefschetzファイバー空間の関係については、有理ブローダウンに関する先行研究を参考にして、主にファイバー和に関する研究を進めていく。
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