2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21540082
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小林 毅 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (00186751)
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Keywords | Heegaard分解 / 三次元多様体 / Hempel distance / 安定写像 / graphic |
Research Abstract |
平成23年度は三次元多様体のHeegaard分解およびそれに関連した次のような研究を行った。 ・Strongly irreducibleなHeegaard分解を与えるHeegaard曲面はその三次元多様体内の非圧縮曲面と本質的なsimple closed curvesで交わるようにできることは良く知られているが、この設定において非圧縮曲面を本質的laminationに置き換えた場合にどのような結果が得られるのかについて村井紘子と共同で研究した。ここではコンパクトな曲面とは本質的に異なる振る舞いが現れる様子が観察できた。これはこれまでに報告されたことのない結果であると思われる。 ・三次元多様体のHeegaard分解が強規約であることを示す判定条件であるHeegaard図式に関する四辺形条件を、一般化することに取り組んだ。この条件はHempel distanceを評価に用いることができると考えている。この結果はHeegaard分解のdistanceを厳密に求める、という基本的な問題を取り扱うのに有効であると考えられる。 ・三次元多様体の二つのHeegaard分解が与えられたときにそれらがisotopicになるかどうか、という問題について、片方のHeegaard曲面を他方のHeegaard曲面に射影して、その輪郭線のある種の同値類を考察する、という手法について具体的な例でその有効性を確認した。これは与えられたHeegaard分解を具体的に変形する操作を記述するために非常に有効であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
23年度はそれまでに取り組んでいた、Heegaaard分解のHempel distanceに関する研究の継続・発展となる結果が得られたほか、二つのHeegaard分解が与えられたときにそれらがisotopicになるかどうか、という問題について、片方のHeegaard曲面を他方のHeegaard曲面に射影して、その輪郭線のある種の同値類を考察する、というこれまでにない手法に思い至り、その有効性をある程度確認できた。これは当初の計画を超える成果と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度もこれまでの研究の継続・発展をめざすのはもちろんであるが、同時に本研究の最終年であるので、これまでに得られた結果について、論文、研究集会での報告、等を通して積極的に公開を行ってゆきたい。
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