2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540101
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 近畿大学, 理工学部, 教授 (80270362)
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Keywords | 可微分多様体 / 可微分写像 / 特異点 / 折り目写像 / Thom多項式 / コホモロジー類 / 二次障害類 / ポストニコフ分解 |
Research Abstract |
可微分多様体の間の可微分写像の特異点の型と定義域多様体の位相構造や微分構造との関係を調べるのが「大域的特異点論」の問題意識であり、これは可微分関数を調べる「モース理論」の一般化といえる。とりあえず、定義域を閉多様体とし、値域をユークリッド空間とすると、写像には特異点が必ず現れる。写像を写像空間の中で生成的写像とすると折り目特異点が必ず現れる。当該年度の研究においては、特異点として折り目しか現れない写像を許容する定義域閉多様体のコボルディズム類に注目し、そのコボルディズム類を固定したときに、値域のユークリッド空間の次元がどこまで高く取れるかという問題を扱った。折り目特異点しかもたない写像の存在問題は、定義域多様体上の一次独立なベクトル場の存在問題に帰着される場合がある。いわゆる安定スパンを決定する問題である。安定スパンを決定する問題は、ホモトピー論的にも難しい部分があるが、安定スパンが小さい場合に多様体を特徴付けることは可能である。これは、微分位相幾何学がWhitneyによって創始されたときに確立された多様体の埋め込み・はめ込み問題の双対にあたる。そのため、例えば閉多様体を固定して、上記のような可微分写像をもつ値域の最高次元を決定するというのは有意義な問題といえる。実射影空間を選び、折り目写像が存在するための必要十分条件を求めようとしたが、そのままでは難しく、単純折り目写像というものを定義し、存在問題を考察した結果Hurwitz-Radon数によって最高次元が決まることが解明できた。
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