2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540101
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 近畿大学, 理工学部, 教授 (80270362)
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Keywords | 可微分写像 / 特異点 / 折り目写像 / Thom多項式 / ホモトピー原理 |
Research Abstract |
可微分多様体上の無限階微分可能写像の特異点集合には、定義域多様体の位相構造や微分構造が明確に反映する。20世紀初頭にモースにより創始された「モース理論」は滑らかな関数の理論であるが、1960年代初頭のスメールの高次元ポアンカレ予想の解決に際して、ハンドル体の理論が効果的に使われたようにその有用性は実証済みであった。1950年代のトムやホイットニーによる写像の特異点理論の創始により、モース理論の一般化という研究目標が明確になった。関数は値域が1次元の場合の理論であるため、特異点(臨界点)集合は離散点で現れるが、写像を考察することにより値域の次元を2次元以上にすれば、特異点集合自体が次元をもち、定義域多様体の構造との関係を明確にするには、モース理論を精密化する必要がある。モース関数の一般化にあたるのは「折り目写像」である。すなわち可微分写像が特異点としては折り目特異点(局所座標系を一つ固定した場合に、値域の次元から1次元低い次元までは恒等写像であり、最後の1次元の成分が2次関数で書ける特異点)しかもたない写像である。まず考えられるのは、折り目写像の存在問題である。従来の研究では、例えば定義域多様体のオイラー標数が奇数の場合には、ホモトピー論でよく知られたホップ不変量1の元との関連で、折り目写像が存在するための必要条件が1次元、3次元、7次元でなければならない、などの制限が分かっていた。今回の研究では、折り目写像の存在のための必要十分条件を求めることを目指した。特異点が現れるのはある種のヒエラルキーのもとで出現するが、折り目の次に現れるのはカスプである。カスプのThom多項式が定義され、多くの場合に計算されているが、これはジェット切断を拡張するための第一次障害類と考えられる。そこでThom多項式が消えている場合は、第二次障害類の決定が必要である。4次元多様体間の写像において、第二次障害類を求めることに成功した。
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