2010 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導におけるギャップ関数を温度と波数ベクトルの両方の関数として扱う数学的研究
Project/Area Number |
21540110
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 秀司 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90222405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 三郎 群馬大学, 名誉教授 (10110397)
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Keywords | 超伝導 / 2次相転移 / BCSギャップ方程式 / 温度 / 不動点定理 / 熱力学的ポテンシャル |
Research Abstract |
超伝導のBCSギャップ方程式に登場するポテンシャルがシンプルな場合には、ギャップ方程式自身も非線形ではあっても、極めてシンプルな形になります。このシンブルなギャップ方程式は超伝導の物理学や工学においては度々、採用されています。このとき、解は主としそ温度のみの関数になります。このシンプルなギャップ方程式ですら、BCS理論などの超伝導の物理学や工学においては、解の存在や一意性、温度に関する微分可能性などの性質が、数学的な証明なしで、依然として仮定されたままでした。そこで、このシンプルなギャップ方程式の解の存在や一意性、温度に関する微分可能性などの性質を、新たな形での陰関数定理を証明することによって示しました。 これらの成果に基づいて、シンプルではない通常のBCSギャップ方程式に対してその解の存在や一意性、温度に関する性質を不動点定理の使用により、数学的に導きました。さらに、温度が十分小さいときには解が温度についても連続であることの数学的な証明を遂に与えまじた。この方面における数学的な先行研究では、解の温度に関する性質が全く調べられておりませんでした。例えば、解の温度に関する連続性すら、先行研究では全く証明されておりませんでした。この意味で、上の研究成果は画期的です。つぎに、超伝導への相転移が2次相転移であるためには、ギャップ方程式の解が、あるBanach空間のどのような部分集合に属するべきかを調べて、こめ相転移が2次であることの十分条件を与えました。 これらの成果を2つの論文に纏め、現在では2つの数学の専門誌に投稿中です。また、Cornell大学のプレプリントセンターであるarXivからも、そめ2つの論文は入手できます(次ページの13.備考を参照)。
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