2010 Fiscal Year Annual Research Report
発展方程式に対する精度保証付き数値計算ライブラリの構築
Project/Area Number |
21540115
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 野人 電気通信大学, 情報理工学研究科, 教授 (30210545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 秀教 電気通信大学, 情報理工学研究科, 准教授 (50242037)
中村 健一 電気通信大学, 情報理工学研究科, 助教 (40293120)
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Keywords | 精度保証 / 自動プログラミング / 多倍長演算 / 区間解析 / 計算ライブラリ |
Research Abstract |
22年度は、主として二つの方向で研究をすすめた。ひとつは、精度保証付き数値計算ライブラリのためのモジュール設計であり、いまひとつは、高精度の精度保証法のための多倍長区間演算ライブラリの構築である。 前者については、特に常微分方程式の初期値問題・境界値問題に対し、与えられた関数を右辺とする方程式の解の精度保証を行うためのプログラムを自動生成することを目的としている。プログラム生成に先立って、精度保証の様々な技法に対応するモジュールを生成し、これらを組み合わせて目的を達する。このライブラリの開発によって、精度保証のさまざまな技法を用いたプログラミングが非常に容易になり、応用面での意義は大きい。22年度末の開発時点では、ユーザ入力に関して若干煩雑な手続きを残しており、この点について23年度に改善を行っていく予定である。 後者については、多倍長演算の研究者の協力を得ながらすすめてきた。精度保証法に用いることができる多倍長区間演算ソフトは既存のものがいくつかあるが、区間表現としてはいずれも上端・下端形式を採用している。この方法は実装が容易で過大評価が少ないという点で有利であるが、メモリー効率が悪く、計算コストも大きいものである。これに対し、我々は中心・半径形式の区間表現を採用したライブラリを開発しつつある。この形式特有の過大評価については、これをある程度回避する方法を編み出し、また標準的な多倍長演算に要請される四則演算と平方根計算におけるcorrectroundingを実装している。多倍長演算が必要となる状況を考慮すれば、演算による区間半径の増大と多倍長の桁数とのあいだの関係が想定される。このライブラリは、ユーザに対して適切な桁数を決定するための情報をも与えるように設計されている。今後の多倍長区間演算は、中心・半径形式が主流となると思われるので、本ライブラリの開発の意義は非常に大きい。23年度はこのライブラリの公開に向けて整備を行う予定である。
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Research Products
(6 results)