2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540117
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石村 直之 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 教授 (80212934)
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Keywords | 数理ファイナンス / 最適化問題 / 確率制御 / 非線形偏微分方程式 / 数値解法 |
Research Abstract |
平成21年度は、応用領域のうちでも主に保険数理や数理ファイナンスに現れる非線形偏微分方程式論を研究した。変動する経済状況のもとで、企業が満期における利益や効用を最適化しようとする問題を考える。これらの問題は、確率制御理論を用いて一般に数理モデル化されるが、本質的に非線形問題であり、その解析は大変に難しい。実際、このような最適化問題の特徴付けは、難解な方程式として知られるHamilton-Jacobi-Bellman (HJB)方程式の解析に帰着されることが多い。石村は前に、このHJB方程式から特異な非線形偏微分方程式を別に導出し、その解の性質について論じた。導出された方程式の未知関数は、Arrow-Prattの絶対的リスク回避度に関連しているという点で経済学としても意味がある。さらに困難さは減少するわけではないが、偏微分方程式論の観点から取り扱いやすい形であった。平成21年度の大きな成果は、この研究の延長上に、やはりHJB方程式から同種の特異な非線形偏微分方程式を導出したことである。今回の未知関数はArrow-Prattの相対的リスク回避度に関連し、金融の観点からより望ましいものである。2010年1月にブルガリアとスロバキアを訪問し、この新しい方程式に関して議論した。進行波解の存在を示し、数値解法についても論じた。
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