2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540117
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石村 直之 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80212934)
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Keywords | リスク選好 / 非線形偏微分方程式 / 数値計算 / 進行波解 / リスク相関 / コピュラ / 時間発展 |
Research Abstract |
応用領域に現れる非線形偏微分方程式の解析を通して、その方程式が導かれた現象そのものをよりよく理解しようとする研究目的に関して、平成22年度も平成21年度に引き続き、主に数理ファイナンスの分野での取り組みを行った。最適化問題での特徴付けを支配する難解で知られるHamilton-Jacobi-Bellman(HJB)方程式に関して、HJB方程式の困難さはそのままながら、解析の上では取り扱いの容易なリスク選好を記述する非線形偏微分方程式を導出した。進行波解の存在を示した。また、ブルガリアのルーセ大学のL.Vulkov教授たちと共同で、数値計算を行った。解析結果と整合的であることが示された。これらを研究論文で公表した。様々なリスク選好を、具体的な数値とともに偏微分方程式で追跡し議論することが可能となった。 次に、確率事象のリスク相関を記述するのに好都合な関数概念であるコピュラの研究を行った。コピュラを用いれば、独立性以外の様々な相関関係を表すのが容易となる。たとえば台湾での地震発生と日本での地震発生の相関などである。しかし現在までは、コピュラの時間発展を取り扱うものはあまり考えられていなかった。リスク相関は時間とともに変化することが自然なので、コピュラの時間発展は重要な問題である。コピュラ関数そのものが拡散方程式に従って時間発展するという新しいIdeaを用いて、コピュラそのものの時間発展に関しておそらく初めての結果を得た。任意のコピュラが独立性のコピュラに収束することを示した。これらを研究論文で公表した。コピュラの時間発展の今後のさらなる研究につながる成果と考えている。
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