2009 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザ流行予測モデルの深度化と流行制圧戦略シミュレーション
Project/Area Number |
21540129
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石川 洋文 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (00108101)
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Keywords | 新型インフルエンザ / 感染症数理モデル / 危機管理 / シミュレーション / 札幌市 / 抗ウイルス薬 / IBMモデル / 学級閉鎖 |
Research Abstract |
2009年メキシコにおいてswine A (H1N1)新型インフルエンザが発生し、瞬く間に日本を含む各国に感染が拡大し、世界的な大流行となった。日本における感染者数は推計2千万人を越えている。このため、新型インフルエンザ対策は重大関心事となった。厚生労働省による新型インフルエンザ行動計画に基づき抗ウイルス薬投与や、学級閉鎖等の処置がとられた。このため今年度は研究計画を前倒ししその進展を図った。また本研究は、研究協力者として森本智子の参加を得て行った。 (1) モデルに導入する社会構造の基づく各群内(家族、病院、学級、仕事場、商店街、近隣地域等)における新型インフルエンザに対する接触感染成功率について、侵入時点で免疫保持者が皆無であったスペイン・インフルエンザ大流行を主とし、現在のインフルエンザ流行を従とた解析に基づく推定を行う。これらを利用して、感染症流行に主要な指標となるEffective Reproduction Numberについて調べた。 (2) 地方中枢都市の社会構造をIBMモデルとして実現するため、対象都市の住民の家族構成、年齢構成、居住地域分布、社会的な組織である病院、学校、企業の構成及び地域分布、更に個人の社会的組織への帰属について、国勢調査資料、対象都市資料等基づきモデリングを行い、IBMモデルの基盤となる個人データベースを構成した。 (3) IBMモデルを用いて人口約190万人の北海道札幌市の人口構造を再現し,新型インフルエンザが発生した場合を想定して抗ウイルス薬の投与や学校閉鎖,外出自粛による対策の有効性やその効果の分析を行った。その結果,感染者とその接触者に抗ウイルス薬投与を行うTargeted antiviral prophylaxis (TAP)と学校閉鎖,外出自粛を組み合わせて行うことで,高い感染封じ込め効果が得られることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)