2011 Fiscal Year Annual Research Report
反射壁確率過程の安定分布・極限分布とその生物学的応用
Project/Area Number |
21540131
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
税所 康正 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70195973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金川 秀也 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (50185899)
畑上 到 金沢大学, 理工学域電子情報学系, 教授 (50218476)
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Keywords | 反射壁確率過程 / 数理生物学 / 極限分布 / 定常分布 / セミの生態 / DNAの損傷 / 2本鎖切断 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き,多次元反射壁過程の極限分布や定常分布について,領域が有界の場合にマルコフ連鎖に対する結果を利用しながら考察を続けた。本年度の研究によって問題点や今後研究を続ける上での課題が浮き彫りにされ,問題の解決にむけて大きく前進することができた。 数理生物学的応用面では,放射線照射によるDNAの2本鎖切断(dsb)の生成に関して,確率モデルを構築して研究し,実験的な観察が困難な低線量下における2本鎖切断の生成率に関する結果を導き,端緒的結果については現在雑誌に投稿中である。さらに本年度はこのモデルを発展させ,線エネルギー付与(LETと呼ばれる)が2本鎖切断の生成に及ぼす影響を加えたときの線量とdsb生成数との関係について,確率過程に関連するさまざまな数学的問題を考えながら研究を進めた。特に放射線の軌跡を時間軸にとることによって,マルコフ過程の理論が応用できることがわかり,今後の研究に今まで極限分布や定常分布について得た結果が関係することが予想できた。本年度で本補助金の研究期間は終了するが,引き続いて研究を続ける予定である。 また,昨年度に引き続いて,セミ類の羽化や交尾などの生態を確率モデルを考えることによって,考察した。本年度は,進化,特に進化的な安定を考える上では定常状態を考える重要性認識し,この方面からの研究も続けた。この課題に関しても本補助金研究期間終了後も研究を継続するつもりである。
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Research Products
(9 results)