2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21540133
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
中田 寿夫 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10304693)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 単純ランダムウォーク / 大数の法則 / 安定分布 / 正則変動 / フェラーのゲーム / ペテルスブルグのゲーム |
Research Abstract |
平成24年度の研究実施計画にそった研究を概ね行うことができた。離散確率論の古典として「ペテルスブルグのゲーム」というものが知られている。これは、コイン投げという単純な手続きから作られた幾何分布を基盤としたゲームであり、一般化も幅広く研究されている。それに対応したものとして、ランダムウォークの再帰時間を基盤としたゲームを考えた。ここではこのゲームを「フェラーのゲーム」と呼び、ペテルスブルグのゲームの一般化にならった一般化を行って、極限定理について調べた。 研究手法としてはオーソドックスなもので、ランダムウォークの原点再帰時間を一般化したものの裾確率を具体的に評価して、その正則変動性、緩変動性に関して着目するものである。ペテルスブルグのゲームのように、正則変動性をみたさない場合は扱いが厄介なものになるが、フェラーのゲームの場合は期待値が無限大となるものの、正則変動性が比較的簡単な評価でえられ、扱い易いことがわかった。これらのことを踏まえて、大数の弱法則がいつ成立するかの条件を整備した。さらに、安定分布への収束、極値分布の収束を調べた。最後に、偏差の具合などを既存の結果と対応させながら調べた。 なお、この研究は福岡教育大学の大学院生である松本啓佑氏と共同で行われ、学術論文としてJournal of Applied Probability において発表された。他にも、統計数理研究所で開催された共同研究集会「無限分解可能過程に関連する諸問題」(課題番号 24-共研-5008)において口頭発表された。これらのことにより、国内外に成果を発信することができたように思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ランダムウォーク等を用いた極限定理など離散確率論の研究においては順調に研究が進んでいるように思われる。しかし、「アルゴリズムの解析」というのを狭い意味として捉えるならば、少しばかり方向がずれていることも否定できない
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究に引き続き、期待値が無限大となる場合の分布に従う確率変数列に関する極限定理を考えたいが、期待値が無限大であることをどのように克服していくかの研究を行いたいと考えている。
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