2010 Fiscal Year Annual Research Report
集団遺伝学における様々な確率モデルの確率過程論的研究
Project/Area Number |
21540143
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
飯塚 勝 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20202830)
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Keywords | 集団遺伝学 / 確率モデル / 拡散モデル / モラン・モデル / 確率過程 / 拡散過程 / 一次元広義拡散過程 / 出生死滅過程 |
Research Abstract |
本年度は主として以下の33の研究を行った。 集団遺伝学に現れる二倍体生物集団における自然淘汰の互助的相互作用(2つの遺伝子座、もしくは、2つのDNA塩基座位を考え、どちらか一方に突然変異が生じると有害だが、2つの突然変異が共存すると、有害性が消失する座位間相互作用)による分子進化の確率モデルをさらに一般化した第2の遺伝子座の遺伝子重複により第3の遺伝子座が生じた場合の互助的相互作用のモデルの解析を行った。とくに、このモデル(離散時間マルコフ連鎖)におけるある境界点への初期到達時間の性質に遺伝子重複が与える効果を考察した。その結果、遺伝子重複の存在は概ね初期到達時間を短くする効果があるが、自然淘汰の様式によって遺伝子重複の存在が初期到達時間を長くする場合もあることが判明した。 集団遺伝学における基本的な確率モデルの一つである連続時間モラン・モデルを含む出生死滅過程に対して、以下の研究を行った。出生死滅過程から、指定した一方の境界点に先に到達するという条件を課すことにより誘導される確率過程(条件付き確率過程)に対して、右境界点と左境界点が反射壁境界条件もしくは吸収壁境界条件のいずれを満たすかに着目して、誘導された確率過程がマルコフ過程となるための条件を明らかにした。さらに、その結果を中心とする学術論文を公表した。 さらに、集団遺伝学における個体数の変動を伴う確率モデルに関する研究成果を学術論文として公表した。
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