2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540146
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大矢 雅則 東京理科大学, 理工学部・情報科学科, 教授 (90112896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入山 聖史 東京理科大学, 理工学部, 助教 (10385528)
浅野 真誠 東京理科大学, 理工学部, ポストドクトラル研究員 (80408707)
松岡 隆志 諏訪東京理科大学, 経営情報学部, 教授 (90328568)
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Keywords | 数学基礎論 / 量子情報 / 量子エントロピー / 量子アルゴリズム / 量子確立論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、いくつかの具体的な問題を通して量子(非可換)確率論の基礎を検討することにある。現在の量子情報に関わる様々な理論は量子確率論をベースにしているが、そこに存在するいくつかの問題点を明らかにし、その解決を試みる。そこで、本研究では以下の順に研究を遂行する。 (1)量子情報理論、特に、量子エントロピー論、量子テレポーテーション理論、量子アルゴリズム論に存在するいくつかの問題点を取り上げ、それらを整理する。 (2)(1)で掲げた問題はどこまで従来の量子確率論の公理系で議論できるであろうか? (3)(2)の検討の下に、量子確率論の新たな数理を考える。 上記の目的に基づき,本年度は以下のような研究成果を得た. (i)量子アルゴリズムを用いたEXPTIME問題の解法,(ii)新しいスキームを用いた量子テレポーテーションの定式化,(iii)リフティング写像を用いた量子相互エントロピーの定式化,(iv)エンタングルメントの数理を取りいれたアライメント,(v)エンタングルメント尺度を用いた2量子状態の分類,(vi)エンタングルメント通信路とOhya相互エントロピーを用いた判定. また,これらの研究成果の発表を数多く行った. さらに,これらの量子論の基礎研究から副産物的生まれた,新しい暗号理論について,以下のような研究を行った. (vii)非可換代数を基にしたストリーム暗号の開発,(viii)新しい非対称鍵交換プロトコルの開発. これらの成果は日本イタリア共同開催の国際ワークショップを通じて発表され,新聞などに報道された.また,これらのうちいくつかは,現在特許出願準備中である. これらの成果は,本研究課題の達成のため非常に重要な位置を占めており,来年度以降もこれらの成果を基にしながら研究を行なう予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である,量子論の基礎を検討するという課題について十分議論が行われ,その結果として数多くの論文が発表され,また,様々な研究集会において成果を発表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今までに得られた結果を基に,今後も本研究の目的を達成するため,具体的な問題を通して基礎的な研究を行っていく予定である.
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