Research Abstract |
本年度は研究計画に記載した以下の二つの成果を得ることができた。まず一つ目は,2M階線形微分作用素(-1)^M(d/dx)^<2M>の自己共役境界値問題において,固定端自由端境界条件をもつ場合のソボレフ不等式の最良評価(最良定数,最良関数計算)を得た。これまで,この2M階線形微分作用素については両端固定端,両端ディリクレ端,両端ノイマン端,両端自由端,周期境界条件に対応するそれぞれのソボレフ等式について,その最良評価を得てきた。本結果はこれらの問題の延長線上にあり,グリーン関数があるヒルベルト空間の再生核であることを利用して,ソボレフ不等式を定式化,その最良定数を計算し,最良関数を求めた。この境界条件の場合は,グリーン関数の対角線値の行列式表示をLU分解することによりソボレフ不等式の最良定数を計算した。二つ目は,2M階線形微分作用素П^<M-1>_<j=0>(-(d/dx)^2+q_j)において,M=2の場合(棒のたわみ問題)については,固定端,回転端,スリップ端,自由端のそれぞれ対応するソボレフ不等式の最良定数を計算し,最良関数を求めた。この棒のたわみ問題については,これまで固定端,回転端,スリップ端について9個のグリーン関数における階層構造を得ていた。これらの境界条件に自由端を含む16個グリーン関数の階層構造を新たにまとめ,それらの結果を元に,ソボレフ不等式の最良評価を得た。本年度得られた以上の結果については論文としてまとめた。また,それぞれの内容に関連の深い国際会議で発表を行った。
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