2011 Fiscal Year Annual Research Report
非負実数上の計算可能解析-ウォルシュ・フーリエ変換と分布の計算可能性―
Project/Area Number |
21540152
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
森 隆一 京都産業大学, 理学部, 教授 (00065880)
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Keywords | ファイン計算可能実数列 / ファイン計算可能関数 / 計算可能確率分布 / 確率分布の実効的収束 / 分布関数 / 列計算可能性 / 特性関数 / 実効的中心極限定理 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画で挙げた確率分布と特性関数に関する古典的基本定理の実効化として、以下の定理を得た。 定理1. 確率分布列が計算可能であることと、対応する特性関数列が計算可能関数列となることは同値である。 定理2. 計算可能特性関数列が計算可能特性関数に実効的に収束すれば、対応する確率分布列も極限特性関数に対応する確率分布に実効的に収束する。 定理2の逆については、確率分布関数にファイン計算可能性を仮定すれば成り立つ。なお、ファイン計算可能性を若干弱くすることは可能である。 定理3. 計算可能確率分布列が計算可能確率分布に実効的に収束するとする。対応する確率分布関数列と確率分布関数がファイン計算可能ならば、対応する特性関数列は極限確率分布に対応する特性関数に実効的に収束する。 定理4. 関数f(x)が計算可能確率分布の特性関数となるためには、(i)正定値、(ii)計算可能、(iii)f(0)=1が成り立つことが必要十分である。 定理4はBochnerの定理の実効化である。上記定理の証明のためには、幾つかの古典的補題の実効化が必要である。代表的なものとして、次の定理を挙げる。 定理5. f_n(x,y)を2変数の計算可能関数とし、μ_nを計算可能確率分布とする。 (1)f_n(x,y)が実効的有界ならば、∫_R f_n(x,y) μ_n(dy)は実効的有界な計算可能関数列である。 (2)実効的積分可能計算羅能関数g(y)が存在し、|f_n(x,y)|≦g(y)が成り立てば、∫_R f_n(x,y)dyは計算可能関数列である。 定理2の応用として、コイン投げに対するde Moivre-Laplace central limit theoremの実効化が成り立つ。
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