2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540153
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三井 斌友 Doshisha University, 理工学部, 教授 (50027380)
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Keywords | 数値解析 / 微分方程式 / 離散変数法 / 収束性 / 安定性 / 事後誤差評価 / 数値計算ソフトウェア / 数理モデリング |
Research Abstract |
本研究題目では,初期値問題の解に対する離散変数法として,線型多段階法を"先読み"型に拡張するlook-ahead linear multistep method(LALMM)を提唱し,これを従来の離散変数法と並ぶ方法として確立すべく,まず収束性と安定性を解明することを目指した.収束性についてはLALMMの係数について比較的緩やかな条件のもとに,その予測子と修正子の局所離散化次数において後者が前者を1だけ上回れば,収束次数は修正子のそれに等しいことを示すことができた.安定性については,線型安定性解析の立場で安定性の特性多項式を一般に構成することは導くことができたが,多項式の係数が安定性パラメータの2次以上の函数となるため,安定領域の誘導・考察が容易ではない.例題を図式的に考察して,Schurの判定条件を援用し函数論の命題を使いながら一般原理を導くこと,それを通じてA安定性の条件を導く考察を進めている. また,新たにD.Yakubu(Nigeria)を連携研究者にえて,微分方程式の解の2階導函数計算を含むLALMMを考察し,その一般的原理をHermite補間の立場から構成し,いくつかの新しい公式群を誘導した.これらLALMMに関する結果の初歩的な部分は,2009年9月Halle(Germany)で開催された国際会議で口頭発表した. 関連する研究として,研究協力者・江崎信行とともに芝草の成長に関する数理モデルを試み,周期係数をもつ線型常微分方程式としてのモデルとその数値シミュレーションを行って,2009年9月北京での国際会議,同月日本応用数理学会年会で発表した.また,発展方程式の空間離散化を念頭にしているが,大規模線型連立系を伴う離散変数法に対して,これに適用するKrylov部分空間型反復法の高速化について,中村真輔(秋田県立大)と行った研究成果をFar East Journal of Applied Mathematicsに発表した.
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