2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540158
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80134807)
|
Keywords | 時間作用素 / ハミルトニアン / 量子力学 / 量子場 / 量子保存量 / 量子電磁力学 / ラムシフト / リウヴィリアン |
Research Abstract |
(1)代数的量子力学や代数的量子場の理論における強時間作用素の一般論を構築した.代数的量子力学の一範疇をなす量子統計力学では,リウヴィリアンと呼ばれる作用素が通常の量子力学のハミルトニアンの役割を演じる.このリウヴィリアンに対して,強時間作用素の存在を示し,その応用として,時間相関関数の時間減衰に対する評価を得た.また,ボソン・フォック空間およびフェルミオン・フォック空間上の第2量子化作用素に対する一般化された強時間作用素を構成した.さらに,第2量子化作用素に適切な摂動を加えて得られる量子場のハミルトニアンに関する一般化された強時間作用素の存在を示した. (2)非相対論的な荷電量子的粒子と量子輻射場との相互作用を記述する非相対論的量子電磁力学における実効ハミルトニアンのスペクトル解析を遂行した。この解析の中で,必ずしも正則でない摂動に関する一般論を構築した.これは新しい理論である.また,水素様原子におけるいわゆるラムシフト(主エネルギー準位の縮退準位における,量子輻射場の効果による極めて微細なエネルギーのずれ)に対して,数学的に厳密な導出を与えられた.これによって,非相対論的量子電磁力学に対する数学的基礎づけに関して,非常に重要な要素の一つが付加された. (3)量子系のある一般的なクラスにおける保存量について,ある種の分解定理を証明した.保存量は2つの作用素の和に分解されるのであるが,この分解に特徴的なことは,一つの部分は,ある自己共役作用素と強可換であり,もう一方の作用素は強反可換であるということである.この分解定理の応用の一つとして,保存量のある種の時間発展に対して,時間無限大における弱極限の存在が証明される.
|
Research Products
(6 results)