2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540158
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80134807)
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Keywords | 量子電磁力学 / 量子電磁力学 / ディラック粒子 / 量子幅射場 / ディラック作用素 / ハイゼンベルク作用素 |
Research Abstract |
ディラック粒子-電荷を有し,スピンが1/2の相対論的素粒子-と量子幅射場が相互作用を行う量子系の作用素論的解析を行った.その基本となるのは,系のハミルトニアンであり,これはディラック-マクスウェル作用素と呼ばれる.この作用素は3次元ディラック作用素と量子幅射場の自由ハミルトニアンの和を無摂動項とし,これに摂動項として,ディラック粒子と量子幅射場の相互作用を表す作用素を加えた形をもつ.ディラック作用素については,4次のエルミート行列値関数をポテンシャルとする項が含まれている.今回の解析の主な対象は,ディラック粒子の位置作用素の時間発展,すなわち,そのハイゼンベルク作用素とその時間微分(速度作用素)である.解析にあたっての基本的仮定は次の二つである:(A.1)ディラック作用素は3次元ユークリッドベクトル空間上の無限回微分可能な関数で台が有界であるもの全体の空間上で本質的に自己共役である.(A.2)ディラック-マクスウェル作用素は,ディラック粒子のヒルベルト空間と量子幅射場のヒルベルト空間のテンソル積ヒルベルト空間のある稠密な部分空間上で本質的に自己共役である.これらの仮定が,ディラック粒子に作用するポテンシャルに対する適切な仮定のもとで成り立つことは以前の研究で証明してある(A. Arai, J. Math. Phys. 41(2000), 4271-4283).主結果は次の通りである : (R. 1)ディラック--マクスウェル作用素が生成する強連続1パラメーターユニタリ群は,すべての時刻において,ディラック粒子の位置作用素の定義域を不変にする.(R. 2)ディラック粒子の位置作用素のハイゼンベルク作用素は,ディラック粒子の位置作用素とディラック行列の時間発展の強不定積分の和で表される.(R. 3)速度作用素はディラック行列の時間発展によって与えられる.
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Research Products
(4 results)