2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間変化を許した領域形状の非線形推定とそのアルゴリズムの研究
Project/Area Number |
21540160
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
河上 肇 Akita University, 工学資源学部, 准教授 (20240781)
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Keywords | 関数方程式 / 逆問題 |
Research Abstract |
本研究では,空間内の領域の境界の一部の形状が未知であるとき,形状既知の境界の一部分(以下,観測面)で得られる温度(拡散方程式の解の境界値)データから未知形状を推定する逆問題を,考察の対象としている。この逆問題における未知形状の一意同定性については,研究協力者の土谷正明氏との共同研究により以下の結果(以下[KT])を得た(平成22年5月現在投稿中):「2つの有界リプシッツ領域がその未知形状の変動に関しある種のcomparability条件を満たすとする。放物型方程式の各領域における解のロバン境界値は形状既知の境界の上で同一で,各時刻において恒等的には0でないとし,さらに領域の初期形状が一致しているか,または解の初期値が共に0であるとする。このとき,有限の観測時間において,それぞれの領域における解の観測面上の境界値が一致していれば,その時間区間において,2つの領域の形状が完全に一致する。」この結果は21年度当初に概ね得ていたが,詳細に関しいくつか検討すべき事項が生じ,21年度前半はその検討を行った。さらに,[KT]に続き,土谷氏と共同して,観測データから未知形状部分を推定するアルゴリズムの設計に着手した。[KT]で課したcomparability条件を満たす例として,H.Kawakami,Y.Moriyama and M.Tsuchiya,Inverse Problems,23(2007)pp.755-783で扱った場合がある。これはリプシッツ領域と区間の直積として得られる柱状領域の下面が未知の変形を起こす場合である。この場合は,未知形状を表す関数を放物型方程式の係数に組み込むことが出来る。この場合について,未知形状を制御として,確率制御理論に基づく未知形状推定アルゴリズムを構築することについて考察した。この研究は未完であり,引き続き22年度も研究を行う予定である。
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