2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540165
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
上村 豊 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (50134854)
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Keywords | 逆問題 / 逆分岐問題 / 大域分岐 / 非線形項 / 振幅 / 周期 |
Research Abstract |
本研究課題のテーマの中心をなす「分岐理論における逆問題(逆分岐問題)」に取り組み、方程式u"+λg(u)=0のDirichlet境界値問題の分岐曲線から非線形項gを定める問題について、次の大域的な結果を得た。(1)λをR上の与えられた任意の正値、局所Lipschitz連続関数とするとき、λを大域第1分岐とするR上連続な非線形項gが一意に存在する。(2)λをR上の正値、局所Lipschitz連続で、ある非自明なC1級のinvolution σに対しλ(σ(h))=hをみたす関数とするとき、λを大域第2m-分岐とするR上連続な非線形項gが存在する。この非線形項がただ1つに定まるためには、λがどんな区間でも定数とならないことが必要十分である。(3)λをR上の正値、局所Lipschitz連続関数とするとき、λを大域第2m+1-分岐とする連続な非線形項gは一意である。gは局所的に、すなわち0の近くでは存在するが、必ずしも大域的には存在しない。 これらの結果は、はじめに述べた方程式の逆分岐問題のほぼ最終的な解答を与えるものであり、今後の逆分岐問題に関する指針を与える。また、その結果を導くために考案された手法は、逆問題全般および非線形積分方程式の研究の進展に寄与するものと期待できる。さらに、上の成果のうちの(2)の部分は、非線形自励微分方程式の解の振幅に周期を対応させる写像から復元力を定める問題(逆周期問題)と等価であり、したがって(2)の結論は、20世紀後半より力学系の立場で研究が進められてきたこの未解決問題への最終的な解答となる。言い換えるならば、上の逆分岐問題への結果はこの未解決問題への解答を含む一般論を構築になっている。
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Research Products
(6 results)