2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21540173
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 雅弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80205129)
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Keywords | 変分不等式 / 相転移モデル / 浸透流モデル / 劣微分作用素 / 非線形偏微分方程式 |
Research Abstract |
非線形発展方程式の理論と方法を応用して、数理モデルとして現れる変分不等式の研究を行った。 本年度は、温度変化を考慮して相転移モデルと、多孔性媒質中の浸透流モデルとして現れる楕円-放物型偏微分方程式に関する変分不等式の解の存在に関しれ、それぞれ一般的な理論を構築した論文が公刊された。 1.(相転移モデル)この論文では、Penrose-Fife型の相転移モデルについて、秩序度に時間依存制約条件を課した問題を一般的に扱い、解の存在と一意性を証明した。これによって、様々な境界条件や片側あるいは両側制約条件を課した問題を統一的に扱うことができるようになった。また、非柱状領域における問題も扱えるようになったことで、最適形状問題等、色々な最適制御問題に関する研究への道を開くことができた。 2.(浸透流モデル)この論文では、Alt and Luckhausによる古典的な楕円-放物型偏微分方程式の理論を拡張して、時間依存制約条件を課した問題に関する解の存在を証明することに成功した。これまで研究代表者の研究によって、単独方程式に関する問題に関して解の存在・一意性・周期解の存在等の結果を得ることができていたが、今回の結果では、さらに連立方程式に関する問題について抽象的な理論の枠組みを作ることができた。この理論を応用することで、多成分流体(水と油等)に関する浸透流モデルを扱うことが可能になる等、一層応用範囲が広がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形発展方程式を応用して、相転移と浸透流モデルについて一般的な研究の枠組みを作ることができ、さらに抽象的発展方程式のクラスとしても、新しいクラスの研究への道をつけることができた。これらのことによって、当初研究目的の達成度について、おおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.(相転移モデル)解の時間大域的挙動の研究。大域アトラクターの構成、周期解の存在・一意性の証明。秩序度が保存しないモデルの研究等を推進していくことを構想している。 2.(浸透流モデル)解の一意性、時間大域挙動(大域アトラクターの構成、周期解の存在)を研究していく。さらに制約条件が未知関数に依存する問題(準変分不等式)の研究が重要であると考えている。
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