2010 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムシュレディンガー作用素のスペクトルの確率論的研究
Project/Area Number |
21540175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上木 直昌 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80211069)
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Keywords | 確率解析 / 微分方程式 / 作用素論 / 数理物理 / ランダムシュレディンガー作用素 / スペクトル / Lifshitz tail / 磁場 |
Research Abstract |
本研究はランダムなSchrodinger作用素に関する様々な問題に確率論的立場から取り組むことを目的としている。本年度は連携研究者の福島竜輝によって始められたPoissonモデルと周期的モデルの中間状態を記述するモデル、即ちポテンシャルを格子点からランダムにずらしたモデル(以下ランダム移動モデルと略称)における状態密度関数のスペクトルの境界からの立ち上がり方の研究についてまとめ、9月6日から10日まで大阪において開かれた国際研究集会「第34回確率過程とその応用」で発表した。またこの研究を3次元系において一様な磁場がかかっている場合について拡張し12月8日から9日に慶應義塾大学において開かれた研究集会で発表した。この研究はランダムな状況から規則的な状況への推移の仕方を明らかにしたことに意義がある。磁場がかかっている場合の特徴は運動エネルギーの影響が小さいためにポテンシャルの影響が支配的になることが多くなることである。運動エネルギーの影響を明確にすることは難しく現在得られているものは部分的な評価である。しかし2次元系よりも3次元系の方が磁場の影響は小さいので詳しい評価が得られている。一方3次元系は2次元系と違って磁場に平行な方向と垂直な方向の2種類の方向の違いが現れることが新たな工夫を要求する。研究協力者の高原純一はポアソン点過程の各見本点に合金型ポテンシャルを置いたモデルに対するウェグナー型評価をポテンシャルが不定符号の場合に拡張し、論文にまとめた。
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