2011 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムシュレディンガー作用素のスペクトルの確率論的研究
Project/Area Number |
21540175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上木 直昌 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80211069)
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Keywords | 確率解析 / 微分方程式 / 作用素論 / 数理物理 / ランダムシュレディンガー作用素 / スペクトル / Wegner型評価 / 磁場 |
Research Abstract |
本研究はランダムなSchrodinger作用素に関する様々な問題に確率論的立場から取り組むことを目的としている。本年度は特にGauss型確率場を磁場にもつSchrodinger作用素に対してWegner型評価を与え12月1日に京都大学で開かれた研究集会と3月2o日に東京理科大学で開かれた日本数学会年会で発表した。Wegner型評価はAnderson局在の証明につながる決定的な評価であるが、従来の証明は考える作用素の固有値がランダムネスを与える確率変数に関して単調であることに拠っていたので、その様な単調性を限られた場合にしかもたない磁場に関するWegner型評価は非常に制限の強いものであった。しかし最近ErdosとHaslerは単調性に拠らず、固有値が確率変数に関して非退化であることに拠る証明を与え、磁場に関するWegner型評価に対する制限を大幅に緩和した。特にその成立条件を磁場だけに課し、スペクトルに直接関係しないベクトルポテンシャルからははずした。しかしErdosとHaslerが扱った磁場は格子のサイズを細かくしていった合金型ランダムポテンシャルの列の和という特殊なものであった。本研究ではこれをGauss型確率場という基本的で自然な確率場に一般化した。この拡張の更なる要点はErdosとHaslerが課していた磁場が下から正定数で抑えられているという仮定をはずしたことにある。この拡張の為に本研究ではMalliavin共分散の非退化性の証明を参考に固有値の勾配のノルムの逆数が何乗でも可積分であることを示した。しかし磁場とする確率場に課した条件はまだ強いものなので今後更に一般化を考えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長年考察していたランダムな磁場をもつSchrodinger作用素に対するWegner型評価を磁場だけに条件を課して与えることに初めて成功したから。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたWegner型評価を出来るだけ一般化することに取り組みたい。
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Research Products
(4 results)