2012 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムシュレディンガー作用素のスペクトルの確率論的研究
Project/Area Number |
21540175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上木 直昌 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (80211069)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 確率解析 / 微分方程式 / 作用素論 / 数理物理 / ランダムシュレディンガー作用素 / スペクトル / Wegner 型評価 / 磁場 |
Research Abstract |
本研究はランダムなシュレディンガー作用素に関する様々な問題に確率論的立場から取り組むことを目的としている。本年度は特に Gauss 型確率場を磁場にもつシュレディンガー作用素の基本的な場合に対して Wegner 型評価を与え、論文に公表し、8月8日にデンマークのオールボーで開かれた国際数理物理学会と12月6日に京都大学で開かれた研究会で発表した。Wegner 型評価は Anderson 局在の証明につながる決定的な評価であるが、従来の証明は考える作用素の固有値がランダムネスを与える確率変数に関して単調であることに拠っていたので、その様な単調性を限られた場合にしかもたない磁場に関する Wegner 型評価は非常に制限の強いものであった。しかし最近 Erdoes と Hasler は単調性に拠らず、固有値が確率変数に関して非退化であることに拠る証明を与え、磁場に関する Wegner 型評価に対する制限を大幅に緩和した。特にその成立条件を磁場だけに課し、スペクトルに直接関係しないベクトルポテンシャルからははずした。しかし Erdoes と Hasler が扱った磁場は格子のサイズを細かくしていった合金型ランダムポテンシャルの列の和という特殊なものであった。本研究ではこれを Gauss 型確率場という基本的で自然な確率場に一般化した。この拡張の更なる要点は Erdoes と Hasler が課していた磁場が下から正定数で抑えられているという仮定をはずしたことにある。基本的な場合の解決以後本研究では磁場としてとることが出来る Gauss 型確率場のクラスの拡張に取り組み、配位空間が2次元の場合には一定の成果を得た。今後は配位空間が一般次元の場合も含めて一般化を考えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要な課題として考えていたランダムな磁場をもつシュレディンガー作用素に対する Wegner 型評価に関して 基本的なGauss型確率場を磁場とする場合を対象とする基本的な論文を公表するに至り、 その内容について8月8日にデンマークのオールボーで開催された第17回国際数理物理学会において口頭発表することが出来たから。
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Strategy for Future Research Activity |
ランダムな磁場をもつシュレディンガー作用素に対する Wegner 型評価に関して 磁場としてとることの出来るGauss型確率場のクラスを拡張することに取り組みたい。 その為には磁場に相当する確率場が0から離れる確率の評価を発展させることが重要になる。
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Research Products
(3 results)