2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 哲生 Kyoto University, 理学研究科, 教授 (10127053)
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Keywords | 複素力学系 / ファトウ集合 / 分岐点 / 放物型不動点 / インプロージョン |
Research Abstract |
一般次元の複素力学系の諸問題を,主として多変数複素解析学の立場から解明することを目的として研究を行った.特に,複素数空間あるいは射影空間の上の正則写像の力学系の大域的構造を,その分岐点の軌道を通して解明すること,および不動点の近傍における写像の局所的構造とその摂動を解明することの両者を関連づけながら研究を進めた. 第一の目的である複素射影空間の上の正則写像から生ずる力学系の解明については,写像の分岐点の軌道を調べ,狭義に有限な分岐点軌道をもつ写像の反発周期点全体が空間内の稠密な部分集合をなすというThurstonの定理を一般化をほぼ完成した.このためにファトゥ写像の特徴づ けを考察し,また与えられた写像の反復合成族を支配する普遍分岐被覆面を構成した.この結果は早急に発表する予定である. 第二の目的である高次元正則写像の(半)放物型不動点の構造とその摂動に関する局所理論については,特に不動点の内在的構造から自然に定まる標準化座標を定め,写像の摂動による標準化座標の漸近挙動の研究を行った.とりわけ,多変数の放物型写像,すなわち不動点における乗数のいくつかが1であるような写像へのEcalle-Voronin理論の一般化を目指し,また,放物型写像が複素パラメータに依存して変化する吸引的写像の極限と見なせる場合に,安定集合上の標準写像を吸引的写像の標準化座標の連続的極限として構成することを目指す.これによって不動点の構造とその摂動の記述を与えることができる.さらに,1変数の場合のインプロージョン現象の高次元化についてE. Bedford(Indiana University)と共同研究を進め,完成を目指している.
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Research Products
(1 results)