2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 哲生 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10127053)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 複素力学系 / ファトゥ集合 / 分岐点 / 放物型不動点 / インプロージョン |
Research Abstract |
一般次元の複素力学系の問題を,主として多変数複素解析学の立場から解明することを目標として研究を行った.特に複素2次元の正則写像の半放物型不動点(すなわち不動点における写像の微分の固有値の一方が1で他方の絶対値が1より小であるもの)の構造とその分岐に関する問題を,前年度までの研究に引き続いて考察した. 前年度までの研究は半放物型不動点の分岐によって,2つの鞍型不動点の組が現れ,充填ジュリア集合が不連続に変化するインプロージョンの現象を取り扱ったが,今年度は分岐によって吸引不動点と鞍型不動点の組が生ずる場合を中心に考察した.これは,1次元の場合の放物型不動点と吸引不動点の同時線形化に関する代表者の結果の高次元化を目標とするものである.2次元の半放物型不動点の吸引領域と漸近曲線(不安定多様体)の上には写像を線形写像(平行移動)に帰着させるファトゥ座標が定義される.半放物型不動点の吸引領域におけるファトウ座標は,吸引型不動点の標準化写像のある種の極限として得られること,また同時に漸近曲線上のファトゥ座標は鞍型不動点の不安定多様体上の線形化座標のある種の極限として得られることを示した. また,半放物型不動点の構造に関して,吸引領域内での漸近曲線の挙動に関する問題がある.2つのファトゥ座標を結びつける変換の臨界点が存在することを示した. 2次元の場合には吸引不動点は,共鳴が存在するときには必ずしも線形化できないが,それに代わる標準化座標がパラメータに関して解析的に依存するようにとれるかという問題に関しても考察した. 以上の研究は現在進行途上にあり,共同研究者 E. Bedford と共に今後もこれらの問題の解明を進める計画である.また2013年7月,Abel Symposium における講演でこの研究結果に関する発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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