2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540182
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 敏隆 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (40112172)
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Keywords | 非綿形偏微分方程式 / 走化性方程式 / Keller-Segel方程式 / 解の時間大域的存在 |
Research Abstract |
走化性を記述する非線形偏微分方程式であるKeller-Segel方程式を臨界現象が起こる2次元全領域で考え,その方程式に対する初期値問題の非負解について時間大域的存在,一意性,有界性,時間無限大でのふるまいなどを明らかにすることが本研究の目的である. Keller-Segel方程式に対する初期値問題の解についてその総質量は保存され,初期時刻での総質量は非負解の時間大域的存在・非存在に大きく係わっている.初期時刻での総質量が臨界値より小さい場合,初期データの2次モーメントやエントロピーの有限性の条件のもとで2次モーメント等式や自由エネルギー不等式などを用いて,非負な弱解の時間大域的存在がBlanchet-Dolbeault-Perthame(2006年)により得られている.然しながら弱解の一意性に関しては明らかでない. 平成21年度の本研究において,まず弱解の代わりに「mild solution」について考察し,その解の時間局所的存在・一意性・正則性などについて明らかにした.次に,初期データの総質量が臨界値より小さい場合,初期データに関してBlanchet-Dolbeault-Perthameらの条件より弱い条件のもとで非負なmild solutionの時間大域的存在について考察した.初期データに対する弱い条件のもとでは,Blanchet-Dolbeault-Perthamerらの手法は適用出来ないので新たな手法が必要となる.「BMO評価」や「Brezis-Merle不等式」などを用いる新たな手法により非負なmild solutionの時間大域的存在についての結果を得た.さらに,「関数の再配分」などの手法を用いることにより,初期データに対して付加条件無しで時間大域的存在についての結果を得た. 本年度の研究で得られた成果は,走化性方程式の臨界現象に関する数学解析の確立に貢献するものと期待される.
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Research Products
(4 results)