2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540182
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 敏隆 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40112172)
|
Keywords | 非線形偏微分方程式 / 走化性方程式 / Keller-Segel方程式 / 時間大域解 / 前進自己相似解 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
走化性を記述する非線形偏微分方程式であるKeller-Segel方程式を臨界現象が起こる2次元全領域で考え,その方程式に対する初期値問題の非負解について時間大域的存在,一意性,有界性,時間無限大でのふるまいなどを明らかにすることを研究目的としている. 単純化Keller-Segel方程式(放物型-楕円型方程式系)に対する初期値問題について,非負で可積分な初期データの総質量が臨界値8πより小さい場合,初期データの2次モーメントやエントロピーの有限性の条件のもとで,非負な時間大域的弱解は球対称前進自己相似解にL^1空間において時間無限大で近づくことがエネトロピー法を用いてBlanchet-Dolbeault-Perthame(2006年)により得られている. 平成23年度の研究において,単純化Keller-Segel方程式に対する初期値問題について,非負で可積分な初期データの総質量が臨界値8πより小さい場合,初期データに対し空間遠方での減衰条件を付加しないで,非負な時間大域解の時間無限大における球対称前進自己相似解への漸近について研究し,次の成果を得た. ・非負な時間大域解はL^p空間(1≦p≦∞)において時間無限大で球対称前進自己相似解に漸近し,その収束はt^<-1+1/p>より速い. 次に,Keller-Segel方程式(放物型方程式系)に対する2次元全領域での初期値問題の非負解の時間大域的存在について研究した.ポワソン方程式に対するBrezis-Melre不等式を熱方程式の場合に拡張し,その不等式を適用して解の時間大域的存在を示すことに成功した. これらの結果は,2次元全領域でのKeller-Segel方程式に対する初期値問題の研究の進展に大きく貢献するものである.
|
Research Products
(7 results)