2009 Fiscal Year Annual Research Report
複数の場の相互作用を記述する非線形偏微分方程式の数学解析
Project/Area Number |
21540190
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
和田 健志 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70294139)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70312634)
|
Keywords | 函数方程式論 / 非線形偏微分方程式 / 波動方程式 / 分散型方程式 / 相互作用 |
Research Abstract |
本年度は空間2次元におけるMaxwell-Schroedinger方程式(MS)の適切性について研究した.この方程式は荷電粒子の運動を記述するSchroedinger方程式と,その荷電粒子の運動の結果生成される電磁場の時間発展を記述するMaxwell方程式との連立系であって,物理的にも興味深い研究対象である.また,数学的には分散型と双曲型という異なるタイプの方程式からなる連立系であり,取り扱いが難しいがそこに面白味もある.(MS)の解析においては方程式の持つゲージ不変性を取り除くためゲージ条件を課して考えるが,空間3次元以上の場合は方程式の解析炉もっとも容易となるCoulombゲージ条件を課すのが普通である.しかしながら空間2次元においては,Coulombゲージ条件を課すとスカラーポテンシャルが通常のLebesgue空間に入らないため扱いが困難であるので,Lorentzゲージ条件のもとで考えるのが普通である.本研究では(MS)にLorentzゲージ条件を課して方程式の適切性について調べた.適切性を自然な関数空間であるエネルギー空間H1で証明するためには線形化方程式の解の平滑化効果が必要となるが,これまでの研究で用いてきたKoch-Tzvetkov型のStrichartz評価では十分でない.そこで平滑化効果としてはより強力な加藤型の評価を使うことになるが,既存の結果においては係数の滑らかさの仮定が厳しいため本研究にそのまま適用することはできなかった.そこでまず共変微分の交換子評価を活用することにより滑らかさの低い磁場を持つSchroedinger方程式に対する加藤型平滑化効果を証明し,それを適用することによりエネルギー空間における(MS)の適切性を証明した.
|