2012 Fiscal Year Annual Research Report
閾値エネルギーにおける量子ハミルトニアンのスペクトル解析
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21540193
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
楳田 登美男 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (20160319)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 相対論的効果の数学的解明 / 量子力学の数学的研究 / 国際研究者交流(イギリス) / 国際情報交換(フランス) |
Research Abstract |
相対論的効果の影響を受ける量子力学的作用素のスペクトル的性質の解明を試みた。本研究では、とくにゼロ・エネルギーに焦点を当てている。(スペクトルとはエネルギーの集まりのこと。)考察した作用素はディラック作用素と相対論的シュレディンガー作用素である。 平成24年度も昨年度に引き続き、ディラック作用素に関しては、質量項がない場合を考察した。電子と原子核との相互作用を記述するポテンシャルに課する条件が何であれ、ディラック作用素のスペクトルが常に実軸全体になることを示した。物理的な表現を用いれば「正・負の任意の値がエネルギーになり得る」ことを証明した。この研究の中間報告は京都大学数理解析研究所の講究録別冊に掲載されることになっている。今後の課題としては、この結果を精密化することが考えられる。現在進めている研究は、超対称性ヤン・ミルズ理論に関連したディラック作用素の場合である。ゼロ・エネルギー以外のエネルギーは固有値になりえないことの証明が目標である。この作用素のスペクトル的性質はほとんど解明されておらず、本研究の次の研究課題として有意義かつ自然なものである。 相対論的シュレディンガー作用素に関しては、ポテンシャルの減衰がある程度速ければ、ゼロ・エネルギー共鳴状態が存在しないこと、及び散乱行列の振る舞いが低エネルギーの場合にはシュレディンガー作用素と大きく異なること、これら2点を示した。シュレディンガー作用素に関しては、ゼロ・エネルギー共鳴状態を持つようなポテンシャルの存在が知られているので、この点を考慮すると、本研究の成果により、相対論的効果がシュレディンガー作用素に及ぼす影響の一端を解明できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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