Research Abstract |
研究成果:半線形Keller-Segel系の爆発解の構造を解析した.より詳しくは,一般には古典解において局所解の範囲に留まっている存在定理を測度値関数にまで解の概念を拡張することにより,爆発解をも含みうる時間大域的存在定理を確立した.更に,異なる二つの近似の方法によって,非一意なる極限方程式の存在を証明した.我々の得た測度値解は,爆発点において,その特異部分がdelta measureの有限和で記述される. 意義:我々の結果は,複素関数論における真性特異点のまわりの有理型関数の挙動を予見させ,Keller-Segel系においては,解を測度値関数にまで拡張することにより,無限個の解の存在を示唆するものである. 重要性:上記研究成果は,近年の実解析学の成果を基礎にKS systemをはじめとする退化準線形放物型方程式の局所的・大域的適切性に関する研究結果である.海外研修期間である2005年度以降は,ドイツのMax Planck研究所のLuckhaus教授とBonn大学のVelazquez教授とのプロジェクトを継続・発展させたもので,該当成果を得るために多くの議論を重ねて来た.平成22年度科学研究費補助金の支援により,爆発解の爆発時刻における解の漸近挙動や,更には爆発時刻後の解の構造の解析し,研究成果を得ることに成功したものだが,これは測度論の立場から解の構造を明らかにしたもので,国内外の高い注目を集めている.実際,共同研究者らとともに国内外の多数の研究集会に招待され,研究成果を発表してきている.私自身による研究成果発表は,「成果発表の時期、方法等」の欄に記すように9回に及ぶ.また,当該研究論文:タイトル"Measure valued solutions of the 2D Kelle-Segel system"は現在high standard journalに投稿中であり,2011年4月に査読者から送られてきた第一レポートにおいて極めて高い評価を得ており,掲載決定の可能性は極めて高いと考えている.
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