Research Abstract |
研究成果: 測度値解:半線形Keller-Segel系の爆発解の構造を解析した.より詳しくは,一般には古典解において局所解の範囲に留まっている存在定理を測度値関数にまで解の概念を拡張することにより,爆発解をも含みうる時間大域的存在定理を確立した.更に,異なる二つの近似の方法によって,非一意なる極限方程式の存在を証明した.我々の得た測度値解は,爆発点において,その特異部分がdelta measureの有限和で記述される. 解の漸近挙動:劣臨界指数においては,任意の初期データに対して時間大域的な弱解の存在が示されている.我々は時間無限大における解の漸近挙動について考察し,解の漸近形は方程式系のもつ非自明な定常解であることを証明した.(Carrillro-杉山-矢作[2011].)より詳細には,(KS)に付随する変分構造に焦点を当てることにより,時間大域解の漸近形を決定した. 一般次元における弱解の一意性: 我々は準線形退化型(KS)を考察し,弱解が一意的である関数空間を確立した.(杉山[2010],杉山-矢作[2010],)即ち,空間$N$次元において,弱解が一意であるための十分条件である関数空間を得た. 準線形特異型(KS)の有限伝播性: 我々は準線形特異型$0<m<1$の場合に,小さい初期データに対して,時間大域的な弱解の存在が示し,非線形現象特有の性質である解の消滅現象を証明した.更に,大きい初期データに対しては,$q=2$の場合に,有限時間爆発解が存在することを検証した。(杉山-矢作[2011]) 意義と重要性: 我々の結果は,複素関数論における真性特異点のまわりの有理型関数の挙動を予見させ,Keller-Segel系においては,解を測度値関数にまで拡張することにより,無限個の解の存在を示唆するものである.今後の展開により放物型方程式系の解の解析に新たな知見を与えるものと期待される.
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